えすみリウマチ整形外科クリニック

阿倍野区(天王寺)関節リウマチの診療

あべのハルカス 21F えすみリウマチ整形外科クリニック
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リウマチ性疾患

関節リウマチについて

関節リウマチとは

 関節リウマチは、全身におこる関節炎で、従来慢性の炎症性疾患と考えられてきましたが、発症後早期に骨破壊が進行し、急性あるいは亜急性の炎症性疾患と認識されるようになってきています。関節リウマチの根本的な原因は不明ですが、もともとの素因に何らかの外的・環境要因によって自己の免疫状態が異常を起こし、全身の関節に炎症が引き起こされる状態と考えられます。

 

 この疾患を放置しておくと関節を形成する骨、軟骨、腱が破壊され、関節の動きが制限されたり、変形したりします。このような変化は不可逆性(一度おこると元に戻らない)で、日常生活に支障を生じるようになってきます。また骨以外に肺などの内臓疾患を合併する全身疾患です。

症状の特徴

 発症のピークは30~40歳代で、けっして歳をとってからなる疾患ではありません。初発症状も多彩で、カゼかなと思うような微熱や倦怠感、関節痛や五十肩と診断されているケースも多いです。

診断

 関節が炎症で腫れており、血液検査で炎症所見(CRP、血沈)、抗体検査(抗CCP抗体、リウマトイド因子 RF: rheumatoid factor)をチェックします。レントゲンは、軟骨や骨の変化があれば診断がしやすくなるのですが、発症早期では変化が見られません。MRIや関節エコー検査では、診察やレントゲンで捕らえられない軟骨、骨、関節包をなす滑膜の変化が検知され早期の診断に有用であることがあります。

■スコアリング(A~Dを合計)

■スコアリング(A~Dを合計)

* スコア 6/10以上で、RAと分類してよい

2010 Rheumatoid arthritis Classification Criteria: Arthritis & Rheumatism 62(9) 2010

この分類基準を参考に診断に至りますが、まだ症状が出揃わずその時点では診断に至らない場合もあります。またスコアを満たさなくても臨床所見から関節リウマチと診断することもあります。

いずれにしても、個人差が多い疾患で、薬の内容や調整は人によってバラバラです。「あの人が良くなったと聞いたので私もその薬が欲しい」ということを時々聞きますが、個人の状態に応じて処方するので、必ずしも同じように効果が出るわけではありません。場合によっては、いわゆる副作用が強く出る可能性もあります。

関節リウマチに関連した病気

■リウマチ性多発筋痛症

肩や腰など四肢近位部の疼痛と朝方のこわばりを訴え、採血で炎症反応の上昇を伴うが、筋酵素は上昇しない。1:2で女性に多く、70歳代をピークに年配者に多い。
関節破壊は伴わず、ステロイド治療に良好に反応する。

■RS3PE症候群

予後の良い(Remitting)、リウマチ因子陰性(Seronegative)、対称性(Symmetrical)、手背足背の圧痕浮腫を伴う滑膜炎(Synovitis With Pitting Edema)の頭文字から命名。
手背の腫脹はボクシンググローブハンドとも呼ばれ、高齢発症、急な発症、骨びらんはない、炎症反応の上昇を伴う、疼痛のない手関節・指関節の運動制限を伴う、HLA-B27・CW7・DQW2陽性率が高い特徴がある。
ライター症候群や乾癬性関節炎などの反応性関節炎でもソーセージ様の手指の腫脹がみられることもあるが、非対称性である事が多い。ステロイドによく反応し、寛解する。

抗リウマチ薬

■リウマトレックス・メトレート (一般名:MTX)

MTXは関節リウマチ治療薬として世界で最も多くの患者さんに使用されている最も標準的な抗リウマチ薬で、ほとんどの関節リウマチの患者さんに投与が考慮されるべき基本的な薬剤です。一人当りの投与量は年々増加しています。単独で使用されるだけでなく、他の薬剤と組み合わせて使用する併用療法も一般的です。特に生物学的製剤はその有効性を上げる観点から、MTXと併用することが望ましいと考えられています。近年の関節リウマチ治療の著しい発展に最も寄与した治療薬と言えます。

 

主な副作用は、肝機能障害、口内炎や胃腸障害などです。腎障害のある人も要注意です。多くの場合、これらの副作用は葉酸を併用することである程度抑制できます。葉酸はMTXを服用した1~2日後に週に1回だけ服用するのが一般的です。稀に間質性肺炎や白血球や血小板が急減する骨髄抑制を認めることもあります。したがって、定期的な受診と血液検査、レントゲンやCT検査をお願いしています。

 

間質性肺炎は特殊な肺炎で、リウマチ患者さんで発症しやすいことが知られています。特にMTXを服用中の患者さんでそのリスクが上がると考えられており、数百人に一人の割合で発症すると考えられています。通常は入院治療を要し、重症化すると手遅れにもなりかねません。発熱、から咳、息苦しさなどが特徴で、ためらわず早めに受診してください。

 

口内炎は大きな合併症の前駆症状となることがあるので、多発的に発生したらこれもすぐに受診をして下さい。

■プログラフ・タクロリムス (一般名:タクロリムス)

日本で開発された免疫抑制剤で、臓器移植後の拒絶反応を抑制する薬剤として世界中で使用されています。2005年4月に関節リウマチの適応が追加されました。

他の抗リウマチ薬の効果を高める可能性があることが注目されており、併用療法で使われることも少なくありません。比較的高価な薬剤ではありますが、近年使用は増加傾向で、個人的には適応が承認された時より多くの関節リウマチ患者さんに使用しています。副作用は腎障害、耐糖能異常(糖尿病、高血糖)が起こる事があります。

■リマチル(一般名:ブシラミン)

日本で開発された抗リウマチ薬で、サラゾスルファピリジンと並び、日本では最初に使われることもある抗リウマチ薬の一つです。主な副作用は、皮疹、蛋白尿で、定期的な尿検査は必須です。比較的キレのいい薬剤と考えます。

■アザルフィジンEN(一般名:サラゾスルファピリジン)

抗リウマチ薬の一つです。MTXと併用することも少なくありません。主な副作用は、薬剤によるアレルギー症状とされる皮疹や発熱、肝機能障害、胃腸障害などで、服用開始後比較的早い時期に起こることが多いですが、しばらくたってから起こることもあります。稀に骨髄抑制という血液の異常を認めることがありますので、いずれにしても定期的な検査は欠かせません。

 

抗リウマチ薬はそのほかにもいろいろあります。状況によって使い分けをしますが、主に上記薬剤を使用しています。

■ケアラム (一般名:イグラチモド)

抗リウマチ薬の中では比較的最近のくすりです。比較的キレもよく、効果も良好です。

最近使用頻度は増えてきています。MTXと併用することも多いです。肝機能障害や胃潰瘍などの可能性があります。

■生物学的製剤

生物学的製剤は最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、関節リウマチに対しては2003年から国内での使用が開始されています。これまでの抗リウマチ薬に比べて薬剤費が非常に高価ですが、治療効果に優れています。リウマトレックスを中心とする従来の治療で病勢のコントロールが出来ない場合、出来るだけ早期に生物学的製剤を導入して関節破壊を防ぐという治療指針が国際的にも受け入れられています。

 

注意すべき副作用は感染症で、細菌性肺炎、結核などの肺病変には特に注意が必要です。投与前のスクリーニング検査が従来の抗リウマチ薬と比べて厳格に行われているため、 結核については当初予想されていたよりも少ない印象です。しかし生物学的製剤は強力な免疫抑制作用を持つため、免疫抑制下でリスクが高まる疾病であるニューモシスティス肺炎や細菌性肺炎を完全に避けることは難しく、頻度は少ないながらも発生することがあります。

生物学的製剤の種類

  TNF-α阻害薬
薬品名 レミケード インフリキシマブBS
  レミケード
投与方法 8週に1回 点滴1〜2時間 8週に1回  点滴1〜2時間
投与量 3mg/kg(体重)
6mg/kg あるいは投与間隔を4週に短縮可能
3mg/kg(体重)
6mg/kg あるいは投与間隔を4週に短縮可能
MTXの併用 必須 必須
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
☆1ヶ月換算
66kg以下 約24,000円
67kg以上 約36,000円
☆1ヶ月換算
66kg以下 約15,000円
67kg以上 約22,500円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
☆1ヶ月換算
66kg以下 約8,000円
67kg以上 約9,000円
☆1ヶ月換算
66kg以下 約5,000円
67kg以上 約7,500円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
☆1ヶ月換算 9,000円
※所得に応じて高額療養費制度が適応されない場合があります
☆1ヶ月換算 9,000円
※所得に応じて高額療養費制度が適応されない場合があります
  TNF-α阻害薬
薬品名 エンブレル エタネルセプトBS
  エンブレル
投与方法 1回/2週  皮下注射 1~2回/週 皮下注射
投与量 50mg or 25mg /週 50mg or 25mg /週
MTXの併用 必須ではないが併用で効果が高い
エンブレルは妊娠・授乳期は単独で
(エタネルセプトBSはデータなし)
必須ではないが併用で効果が高い
エンブレルは妊娠・授乳期は単独で
(エタネルセプトBSはデータなし)
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約37,500円 約20,500円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約12,500円 約7,000円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 ※ 約13,500円 ※
  TNF-α阻害薬
薬品名 ヒュミラ シンポニー
  ヒュミラ シンポニー
投与方法 1〜2回/週 皮下注射 1回/4週 皮下注射
投与量 1回 40mg 病状に応じて 80mgのことも 1回50~100mg
MTXの併用 必須ではないが、併用で効果が高い 必須ではないが併用で効果が高い
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約37,500円 (40mg)
約75,000円 (80mg)
約36,000円 (50mg)
約73,000円 (100mg)
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約12,500円 (40mg)
18,000円 (80mg)
約12,000円 (50mg)
1,8000円 (100mg)
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18000円 ※ 18,000円 ※
  TNF-α阻害薬  
薬品名 シムジア  
  シムジア  
投与方法 1回/2週  
投与量 1回200mg  
MTXの併用 必須ではないが併用で効果が高い 妊娠・授乳期は単独で  
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約37,000円  
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約12,000円  
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 ※  
  IL-6阻害薬
薬品名 アクテムラ アクテムラ
  アクテムラ アクテムラ
投与方法 点滴1時間 1回/ 4週 1回/2週  週1もあり
投与量 8mg/kg (体重) 162mg
MTXの併用 原則不要、併用も可能 原則不要、併用も可能
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
40kg未満 約22,000円
40〜50kg 約27,000円
60kg 約33,000円
約23,500円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
40kg未満 約9,000円
40〜50kg 約11,000円
60kg 約12,000円
約8,000円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18000円 ※ 18,000円 ※
  IL-6阻害薬  
薬品名 ケブザラ  
   
投与方法 1回/2週  
投与量 200mg or 150mg  
MTXの併用 原則不要 併用も可能  
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約35,000円 (200mg)
約27,000円 (150mg)
 
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約12,000円 (200mg)
約9,000円 (150mg)
 
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 ※  
  T細胞選択的共刺激調整剤
薬品名 オレンシア オレンシア
  オレンシア オレンシア
投与方法 点滴30分  1回/4週 皮下注射 1回/週
投与量 500mg 60kg未満
750mg 100kg未満
125mg
MTXの併用 原則不要、併用も可能 原則不要、併用も可能
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
60kg未満 約33,000円
60〜100kg 約49,000円
約20,500円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
60kg未満 約11000円
60〜100kg 約16,000円
約7,000円
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 ※ 約13,500円 ※
  JAK阻害薬
薬品名 ゼルヤンツ オルミエント
 
投与方法 内服 (毎日) 内服 (毎日)
投与量 5mg 1日2回
5mg 1日1回
4mg 1日1回
2mg 1日1回
MTXの併用 必須ではないが併用可能 必須ではないが併用可能
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約44,000円 (2回/日)
約22,000円 (1回/日)
約44,000円 (4mg/日)
約22,500円 (2mg/日)
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約15,000円 (2回/日)
約7,000円 (1回/日)
約15,000円 (4mg/日)
約7,500円 (2mg/日)
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 (2回/日)
約15,000円 (1回/日)
18,000円 (4mg/日)
約15,000円 (2mg/日
  JAK阻害薬  
薬品名 スマイラフ  
   
投与方法 内服 (毎日)  
投与量 150mg 1日1回
100mg 1日1回
 
MTXの併用 必須ではないが併用可能  
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳未満 
3割負担
約46,000円 (150mg)
約30,500円 (100mg)
 
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
1割負担
約15,500円 (150mg)
約10,000円 (100mg)
 
通常投与量での負担額
(1ヶ月)
70歳以上
2割負担
18,000円 ※  

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